2013年11月18日月曜日

シンフオニエッタとの出会い

こんにちは!
スロバキアシンフオニエッタとの出会いから4日後、定期演奏会は街の中心地にある400人が入るクラシックな佇まいの場所で開かれました。
3日間のリハーサルは団員の笑顔で迎えられベートーヴェンの中でも渋い曲の交響曲第二番、実はこの曲は私にとって初めての指揮。このコンサートがきまったのが一年前、この歳になって新しい曲を覚えるのは大変。あまり演奏会でも、取り上げない曲、なかなか馴染むには骨が折れました。スロバキアシンフオニエッタにとっては聞いてみたら三年振り?木曜日が定期演奏会、定期会員が集まってきました。
人口十万の街の一番の楽しみかもしれないコンサート。朝からのゲネプロはみんな気合いが入っていました!朝8時半に楽屋入りしたらもう半数近いメンバーがステージでさらっていたのです!朝9時から3時間のゲネプロ。夜7時からコンサート。こんなことが出来るのもヨーロッパならではのゆとりなんですね。ホールは自分達の専用だから貸しホールみたいに時間で慌ただしくする必要がないのですね。レジデントオーケストラはこうした環境が与えられていることでいい音楽を演奏出来るんですね。
朝のリハーサルをしっかりやりホテルまで総て石畳みを歩いて家庭的な石と木のテーブルが素敵なイタリアンに入り腹ごしらえ。
こちらの物価は驚きの安さ!パスタが大体4ユーロで300gもあって日本の軽く二人前。ピザも直径が40センチ位の馬鹿でかいのがやっぱり4ユーロ、飲み物が1ユーロから2ユーロなんです!
コンサートのチケットが平均10ユーロとのこと。スロバキアでは国の法律でメニューに飲み物も食べ物も総て量の表示が義務付けられています。野菜さらだでさえ200gとか、お肉は大体が300g位あって胃袋のサイズが違うのでしょうか?食べ物がこんなに安い。ブルガリアの首都ソフィアでもそうでした!一人前の働いている人のきゅうよまあが400ユーロから500ユーロとシンフオニエッタのディレクターの話。満腹でホテルに戻り暫し呆然。コンサートまであと数時間、お天気は良さそう!燕尾服や準備するものを点検、落ち着かない時間が過ぎていきます。開演1時間前に楽屋入りしたらもう前に団員は燕尾服に着替えてステージ裏にゾロゾロ、ステージにも10人位が練習しています。みんなコンサートが待ちきれないような気合いを感じたのです。
凄い!
コンサートは満席、温かい拍手に迎えられベートーヴェンのコリオラン序曲から始まりました。最後のピアニッシモのピチカートが終わり沈黙がつづきました。私もオケも聴衆も全員が無、沈黙、息をこらした瞬間が数秒続きました。もう全身汗だく。舞台袖にはピアニストが笑顔で迎えてくれました。さあ!次はビアノコンチェルト。彼女は緊張し舞台裏を行ったり来たりしています。ピアノが設置されさあ!トイトイトイ!舞台なれしているベテランでもいつでも毎回同じ緊張なんですね!聞いた話しですがあの指揮の帝王と言われたカラヤンでさえ、毎回ステージに向かうとき足がすくみ、奥様が後ろから肩をポンとたたき大丈夫よ!と送り出したとか。
みんな怖いのですね。
ピアノ協奏曲は一箇所キズはあったもののなんとかいき聴衆の割れんばかりの拍手で終わり楽屋裏でハグ!とても喜んでくれますた。
共演者から有難う!と言われるのはとっても嬉しい限り。さあ!いよいよメインの交響曲第二番です。
暗譜でやるか、見てやるか。最後の瞬間までモンモンと。やっぱりしっかり見ようと。頭の中はベートーヴェンずけ。ベートーヴェンの素晴らしい作品交響曲第二番は高らかなファンファーレで終わりました!三階のお客様が立ち始め続いて二階と一階の後ろの席から次々と立っての拍手!用意していたアンコール曲、フィガロの結婚序曲を演奏。スタンディングオベイジョンの中でコンサートは無事終わり楽屋裏では団員からの握手と笑顔。いいコンサートだったと。
ディレクターのサラガさんの部屋に招かれワインでの乾杯。
演奏記録のDVDを頂き再会を確認して別れました。またいつか招待されることを夢みて石畳みを歩きました。明日はもうウィーンに向かいます。
ジリナの街は不思議なくらい落ち着きがありたくさんの教会が市民生活の心の拠り所として真面目に生活しているなとつくづく感じさせられた素敵な街。音楽をやることで全く知らなかった土地を訪れてたくさんの人達と交流出来ました。
翌朝ジリナの駅までステージマネージャーが送ってくれブラチスラバまで電車の旅2時間、車窓には小高い丘に古城や砦が幾つも見え、長いハンガリー帝国からハクスブルグオーストリア帝国の繁栄の中で幾たびの戦いがあったことに想いをはせスロバキアの首都ブラチスラバに。乗り換えてウィーンまで1時間の列車の旅、背中から脚まで鉛の板のような筋肉の凝り。でもこのコンサートのお蔭でベートーヴェンの交響曲第二番が大好きになりジリナという街を知り音楽大好きな人達と交流できました。

2013年11月13日水曜日

スロバキアシンフオニエッタとの出会い

こんにちは!
ブラチスラバから高速で2時間、オケの迎えの車でスロバキアの田園地帯を見ながらなだらかな山あいにある古い商業都市として栄えたジリナにやってきました!気温は五度前後。コートがないと凍えてしまいます。この街はウィーンからポーランドの古き都クラカフに抜ける街道にあり14世紀交易で栄えた街、道は総て石畳で敷き詰められ、電信柱なんか全くない中世にタイムスリップしたような静かで平和な感じです!
この街の中心部にスロバキアシンフオニエッタの本拠地の素敵なコンサートホールがあります。このステージで三日間リハーサル、四日目がドレスリハーサルが朝9時からあり夜7時からコンサート!
朝9時半オケのスタッフがホテルのロビーで会い石畳みの街を歩くこと五分でコンサートホールの楽屋につきました。
緊張のひと時です!身支度を整えリハーサル開始五分前にスロバキアシンフオニエッタのメンバーに紹介されました。みんな笑顔で迎えてくれ、極度の緊張が少し解れたかも。
コンサートマスターは年配の男性。メンバーの大半は男性奏者。女性は僅か7名だけ。ヨーロッパのオーケストラは大半が男性なんです!
日本のオーケストラはN響と読響を除いて大半は若い女性奏者。事情がちがうのでしょうね。
最初はベートーヴェンのコリオラン序曲。弦楽器の分厚いなんともいえない音。普通のフル編成のオケの約半分の弦楽器、20人の奏者がなんでこんなに分厚い温かい音がでるのか?続いて交響曲第二番。汗だくのリハーサルも素晴らしいテンポでリハーサルが進みました!真剣なリハーサルの中にも音楽を大切にする奏者達の笑顔が幾つもありました!
ホールの響きも自然で大満足の一日でした!明日が楽しみ!

2013年11月11日月曜日

スロバキアのコンサート

こんにちは!
ウィーン経由スロバキアの首都ブラチスラバにやってきました。久しぶりのスロバキアです。スロバキアもEUに加盟し開かれたヨーロッパでウィーンから車で1時間、数年前にはビザも必要で国境に車の長い列ができ入国が面倒だったのにいまは国境すら全くわからない陸続き。ブラチスラバの街は以前と同じ佇まいでした。
翌日土曜日は生憎の冷たい雨、隣がスロバキアフィルの本拠地のルダータホール、その前が歌劇場、ホテルの左隣がアメリカ大使館。
ランチにプロモーターとのランチとミーティング、夜はスロバキアフィルのコンサート。スロバキアフィルとはかって12年前、このホールでスロバキアフィルを振ってヨーロッパデビューした思い出のホールです。今夜はコンテンポラリーのコンサート、メンバーのマイケル君と開演前ギリギリまで美味しいビールを飲み一年振りの再会を果たし、彼に裏口から入れてもらい改装なった金ぴかのホールに駆け込んだのです!
コンテンポラリーの音楽は不協和音の連続で前半部だけでもうたくさん!
彼もビール飲んでもううんざりだ!ブラームスなリハーサルやるたびによくなるのにコンテンポラリーはリハーサルを四日もやっても毎回同じ、やだよな!それでもさすがプロ、本番は真剣に新しい曲に向き合っていた。コンテンポラリーを好む聴衆は熱狂的に拍手。これらの曲が百年先にベートーヴェンみたいに世界中で愛好される事があるのかな?ベートーヴェンや、ブラームスやチャイコフスキーがなんて凄いのか改めて実感。これから一週間スロバキアの音楽紀行を綴りますね。、
宮城敬雄

2013年10月24日木曜日

ベートーヴェン英雄の出だし

こんにちは!宮城敬雄です。
コンサートまであと6日に迫りました。台風が二つも近づきうーん晴れて欲しいな!
兼松講堂でのリハーサルが25日から2日間あり台風がきたら大変。毎日天気図と予報に神経を尖らせています。
正しく神頼み!子供の頃は母からいつも良い子にしていたらバチは当たらない。て言われてたことをふと思い出してはいるものの自然災害だけはどうにもならないかも。
先週は元東フィルの弦楽四重奏にきてもらい弦楽だけでベートーベンの交響曲二番と三番を2日間リハーサルしました。
テンポの設定から指揮の細かなポイントまで普段は指揮者に言えない指摘まで含め三時間の濃密な練習をやり、クタクタ!
管楽器や打楽器が無い分弦楽だけのアンサンブル、合奏は曲の基本部分でもあり弦楽器約40名の中で各パートのトップとのコミュニケーションは曲を創る上で一番大切な部分です。勉強会みたいなもので経験豊かな四人のトップ奏者達は気になることはなんでもいってくれます。微妙なニュアンスの伝え方からテンポの移り方、たとえば英雄の冒頭部、ジャン!ジャン!と全部の楽器が和音を力強く弾くのですがバイオリンだけが四つの音を同時に、セカンドバイオリンは三つの音を、ビオラは二つの音をチェロとコントラバスは一つの同じ音をみんな同時にジャン!ジャン!と二回弾いて次の主題に入るのですが、その四つの音をピアノのように和音として弾くのか、アルペジオのように少しずらして弾くのか、ずらすとそれだけある幅の音が一瞬の合奏の中で微妙なニュアンスが醸し出されるかもしれないのです。何故ベートーベンがそんな楽譜にしたのか?一楽章の冒頭部のジャン!ジャン!は一楽章の最後の締めのジャン!ジャン!も同じ音型で終わるのです。
一つのストーリーをベートーベンはイメージしその最初と最後にこんなに複雑な沢山の和音を弦楽器奏者に弾かせて音の厚みと言うか太さというか余韻というか重さというか、例えが飛躍しますが光には七色の虹がチョット屈折させるとプリズムの中でみえますよね?一筋な光にもわずかなずれで七色にみえると一瞬でもわ!綺麗!とかへ?不思議なかんじする!とかありますね。音も単音だけだと一つの色。和音になると違う色に。一瞬でもずらすと更に複雑な色に見え何かメッセージが違ってくるように感じるのです。
そんな冒頭部一つとっても四人だけでやってみると違いがわかりとても面白いのです。
昔フルトベングラーというマエストロがベルリンフィルを今から約65年前に録音され今だ世界中にファンが沢山いる一連の演奏はこのジャン!ジャン!もジャン!ではなくグジャン!みたいな、そしてだれよりもチェロとコントラバスが先に低音を出して後からその他楽器がジャン!とやっています。ドイツの伝統的な弾き方なのか分かりませんが一瞬の合奏でさえ微妙なアンサンブルがあったりで興味深いものがあります。
日本のオーケストラは正確で一糸乱れずがそのオーケストラの合奏能力のレベルを示し、グジャン!なんてやろうものなら指揮者の棒が悪い!なんて言われるかもしれませんね。こんなチョットしたとこにもオーケストラという強大な人間勢力、専門家達のプライドや感情が指揮者に向けられのですから余程の鈍感かタフな精神力がないと 指揮者は結構辛い仕事かも知れません。でもオーケストラの奏者達は一人一人はとても音楽が大好きな純粋な人達。結局悪いのは指揮者ということなんだといつも自己反省ばかりなんです。
台風が逸れますように!

コンサートまでに!
明日からいよいよ兼松講堂でオーケストラとのリハーサルに入ります。
高輪プリンセスガルテン宮城敬雄

2013年10月12日土曜日

国立シンフオニカー動画のご案内

こんにちは。
あと二週間に迫った国立シンフオニカー第七回定期演奏会、10月27日日曜日の午後1時半開演、場所は国立駅南口から歩いて七分、緑に囲まれた一橋大学のキャンパスにある兼松講堂、ヨーロッパの雰囲気を持つロマネスク様式のクラシックなホールで1040席の中型のホールでとてもクラシックが似合う大好きなホールなんです!ここに一橋大学の創立135年を記念して創設されたレジデントオーケストラ、総勢65名のプロフエッショナルオーケストラなんです春と秋に定期演奏会を開いて三年、地元国立を中心に多摩地域の方々や東京、横浜まで広い地域から聴きにきてくださいます。
三年前からブラームスの交響曲をとりあげ、続いてベートーベンの交響曲に取り組んでいて今回はオールベートーベンプログラムなのです。
これから本番当日までリハーサルの模様や面白いエピソードがあればこのブログでもご紹介出来ればとおもっています。
YouTubeでピアニストのフェデリコ
コッリのの映像と案内をアップしましたのでごらんください。

宮城敬雄

【ご案内映像】
http://m.youtube.com/watch?v=ohIa4z-GLIM

【チケット取り扱い】 
●チケットぴあ 
http://md-ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1314351
● 一橋大学生活協同組合(西ショップ)TEL:042-575-4184
● 洋菓子・喫茶「白十字」南口店 TEL:042-572-0416
● 国立楽器 国立店 TEL:042-573-1111

2013年10月1日火曜日

音楽てなに?

こんにちは!
悩み事はいつも誰にでもありますね。音楽をやったり聴いたりすることで悩みは解消するか増幅するか?音楽のもつ本質的なもの?それはエネルギーでは?
音楽を受け入れている動物は人間だけ?音をかんじるのは多分全ての動物がなにがしかの音を捉えて身の危険を感じたり仲間を感じたりまた種の保存を合図したり言葉はなくても音は重要な生きるための大事な手段ですね。音楽は言葉が人類に与えられた時からそれほど後ではなく木を叩くと色んな音がしたり、叫び声を繋げるとメロディになったりして音楽の原点ができたのでしょうか?そんな事は今更考古学者でもない私が考えても仕方ないのですが、音楽の持つエネルギーはどんなものか?
自分に心地よい音楽、どんなジャンルにせよ、どんた楽器にせよ、心地良いと感じるのは皆様々ですね。どの音楽がいいとか、悪いとかは全く個人的には関係ないと思っています。民族的にも違うし、気候風土によっても好まれる音楽は違うし、歴史的にも違うし、ある時だけ、例えば平和な時に好んで聴く音楽、戦時中に好まれる音楽、もう考えても仕方ない位の様々な音楽が存在しますね。
クラシックの世界もバロックから様々な変化を時代と共に変化し発展し、これからも現代作曲家によって生まれてくる曲が百年後ベートーベンやモーツァルトより好まれることもあるのですね。マーラーの曲だって三十年前なんかまだ殆んど一般には知られてなかったのでは?
なぜ好まれるようになってきたのでしょうか?
この先例えば百年後にベートーベンの音楽は世界中の人達に聴かれているのでしょうか?その時の演奏スタイルは?
私達がこのクラシック音楽を聴けるといってもせいぜい1930年代くらいからの演奏で1800年代の演奏記録は聴くことが出来ないのですね。電気が発明されてから急速に録音機が開発されてきたのですがまだ百年の歴史もないのですね。
それまでは生演奏を聴くか、ミュージックボックス、オルゴールにして楽しんでいたのです。
高輪プリンセスガルテンのチャペルに三台のアンティークオルゴールがあります。作られた年代は1880年から1890年にかけてドイツのライプツィヒという工業都市の周辺で急速に音楽が聴ける機械装置がこの世に誕生!これがそののちエジソンによって電気か発明されてラジオや録音といった革新的な発明によって急速に近代文明が開けていったのが音楽演奏の世界、とりわけ演奏記録はまだ百年の歴史がない世界なんですね。ベートーベンやブラームスが自分の作曲した作品を自らの指揮で初演したなどと記録されていますが、それがどんな、演奏だったかは、全くわからないのです。楽譜のみがこんにちまで残っていてそれを演奏しているだけ!
楽譜も出版社によって少し違いがあったり手書きがハッキリしないので出版社による改訂とか細かく言えばきりがないのですが、いずれにしても科学技術でない歴史をたどるなかでの想像の世界で創造するのがアート、とりわけ音楽の世界なんですね。
だから絶対こうだ!と言い切れない世界。これが音楽なんですね!
宮城敬雄

2013年9月19日木曜日

アバードの英雄

こんにちは!
夜なんかの虫の知らせか深夜12時位にテレビをつけたのですが何時も滅多につけないBSをつけるといきなりアバードが写っててビックリ!何と今年8月17日のルッツエルン音楽祭のアバード指揮ルッツエルン音楽祭管弦楽団の放映ではないか!
ちょうど世界で活躍中の藤村美穂子がソリストで百人以上の大編成のオケに負けず圧倒的な歌唱力で素晴らしい熱演を披露、満員の聴衆から割れんばかりの拍手を貰っていました。昨年も確かマーラーを歌ったのですが、日本人としてとても誇らしい光景。アバードもその9日後に聴きに行った時より笑顔もあり、まだまだいけるアバードを映像でアップで見ることが出来ました。食い入るように見てるとなんと次の曲はベートーベンの英雄ではありませんか!ちょうど来月の国立シンフォニカー第八回定期演奏会で振るのがこの英雄。よく見て聴いて勉強しなさい!何かこんな偶然が私にはよくおこるのです!
スコアを開いて世界最高とも言われるルッツエルン音楽祭管弦楽団の英雄を最後まで食い入るように見て聴いたのですが、何か物足りない感じが残ってしまいました。団員の演奏中の顔つきが今ひとつなんです。英雄という曲は最初から最後まで約50分の長大な曲で一瞬の隙間もない緊張感のある曲だと思うのですが、団員のが周りの団員をキョロキョロ見たりも散見され、何よりも一体感が物足りない感じなんです。
オーケストラは超一流、乱れは無いしソリスト級の木管は上手いし、でも緊迫感が。でもこれはあくまで私の独断と偏見かもしれません。晩年のアバードでしか表現出来ない英雄像があるのでしょう。
ベートーベンが34歳の時に作曲した英雄、80歳のアバードがどんなイメージを持って演奏したのか、そんなインタビューがあればもっともっと面白い鑑賞の仕方もあるのでは?
宮城敬雄



2013年9月12日木曜日

アバード来日中止!


こんにちは!
日本に戻り現実の世界での仕事はじめ。
突然サントリーホールから一本の電話がはいりました。
11月に来日予定だったクラウディアアッバードとルッツエルン祝祭管弦楽団の来日が急遽体調不良との理由で全ての公演が中止となったのです。
チケットを購入していた私にも連絡あって払戻の依頼。
アッバードの体調を心配したのがやっぱり現実になってしまいました。とても残念ですが、なんとか回復され来年の夏のコンサートに元気な姿を見せて欲しいものです!
先週にウィーンの演奏家からきいたのはイタリアのマエストロ、リカルドムッティが公演を突然キャンセルしたとのこと。元気だった大指揮者も次々老いと病気で倒れるのは本当に哀しい限りですね!日本に戻り留守中の新聞の中に小澤征爾が松本でのサイトウキネンで復活!との記事を見ました。
指揮は様々なスタイルとともに様々なリハーサルやゲネプロと本番、体力と精神力がとても要求されて余程体力に自信がないと乗り切れません。
私のような指揮歴10代、でも歳はもうすぐ70歳になろうとするものには本番が迫ってくると先ずは体力大丈夫かな?と不安になります。本番は2時間位の演奏時間ですが、その本番直前にいわゆるゲネプロ(ヨーロッパではドレスリハーサルという当日の総練習というか総点検)を約2時間近くやります。そして、私と国立シンフォニカーの場合は、前日前々日と2日間かけて曲を仕上げていくのです!プログラムの曲全部とアンコール曲を初めてオーケストラと一緒に創り上げると言えばかっこいいのですが、私の場合は、格闘し、もがき苦しんでしまいます!
オーケストラとのコミュニケーション、信頼関係、音楽への情熱が一つにならないと良い音楽への到達は無理なんだと思います。
この続きは次に。
宮城敬雄

2013年9月9日月曜日

ブラームス国際コンクール つづき

こんばんは!
ブラームス国際コンクールは今終わりました!
ピアノ部門の優勝は昨年の佐籐麻理さんに続いて日本人の木下さんが獲得、3位にも渋田さんが入賞しました。
オーケストラとのコンチェルトで最終審査を行いバイオリンとピアノ部門6人がオーケストラとのコンチェルトで1位から3位を決める仕組み。
ピアノ部門5人の審査員、バイオリン部門の6人の審査員が並びました!
一般のお客様も15ユーロを払って最終審査を聴くことができます
6時開演、こんどはピアノ3人の運命を左右しかねないジャッジを下さないといけないのです。さらにそのジャッジは大勢の聴衆にも点数を書いた大きな紙を一斉に示し、お客様はその点数を見て審査員をジロッと見るのです。初めての経験とはいえ、この審査のやり方は、他のコンクールの審査のやりかたは知らないので比較は全く出来ませんが、一次予選はまる二日間かけ29人から上位12人に絞り一日おいて準決勝、そして最終選考で一位から3位までがきまります。
選考は五人の審査員が順番に演奏されているなかでテクニックと音楽性の2つのカテゴリ別に点数を付け、演奏が終わると同時に紙に点数をつけてサインしたものを提出、それは直ちにコンピュータに入力されます。この提出が終わるとこんどは演奏者やお客様に対し点数を書いた紙をテクニックと音楽性の2つのカテゴリ別に点数をを掲げ審査の透明性を示します。この時点で初めて5人の審査員の点数がわかるのです。
隣の審査員の点数が自分の点数と違う場合も同じ場合もあり、それが大きく違う場合は、休憩どきに話題になったりしますが、点数はすでにコンピュータに入っており審査員同士が激論を闘わしたからといって結果には全く影響はないのです。
よく出来たシンプルにして公平、百パーセントフェアな審査方法、増してや演奏会場の中で審査員のテーブルは一般のお客様と隔離されておらず、あくび一つできないのです。
課題曲の範囲が広く、また朝から晩まで延べ41回の演奏を3日間で聴いて点数をつける作業はまさに自分自身への評価になるんですね。


開催当初から審査員を務められているアレキサンダー教授をはじめピアノの教授やピアニストがどんな点数をつけるか、点数を聴衆に発表するまでお互い全く分からないのです。演奏技術、音楽性に12人のピアニストがしのぎをけずるのです。スポーツのように勝ち負けがはっきりでるのはまだしも芸術の世界はこれが絶対というのはないから微妙な判定があり、ときとして物議を醸すこともあるのですね。
自分の付けた僅かな点数でピアニストの運命が左右されるかも知れないと思うと大変な重責とつくづく思い知らされました。
点数を発表し他の審査員と点数が同じ或いは近いとホッとしたりします。長年審査員を務めるベテランでもきっと同じ想いで審査員を務めているのではないでしょうか。
いずれにしても五人の審査員に全く異論が出ない結果となり無事大役を果たせかなと思いました。
8日のイブニングは1位と2位の5部門の演奏と表彰式がフェルデンのホールで華やかに開催されます。
コンクールの舞台裏の話はまたゆっくりお話しますね。


2013年9月7日土曜日

ブラームス国際コンクール


こんにちは!
ブラームス大好きな私には南オーストリアにある湖と森に囲まれた静かな保養地ペルチャッハを訪れることが一番の幸せなんです。
1870年代にブラームスがこの地を訪れて自然の美しさに感動し数々の名曲を書いたことは以外と世界のクラシックファンに知られていないかも。
この地でブラームス国際コンクールが開催されて今年が20回目。
このペルチャッハ市長の奥様のアーノルドさんが立ち上げ、今や世界50カ国から400人ものアーティストがこのコンクールに挑みます。
ブラームスが作曲した作品が多数ある、ピアノ、バイオリン、チェロ、室内楽、歌の五部門もあり、一週間、街の教会やホールを使って熱い演奏が繰り広げられます。
ピアノとバイオリンは最終審査がオーケストラをバックに協奏曲を弾いて3位までをきそうのです。
この地を訪れてもう13年、
毎年夏に訪れてブラームスが滞在していたなんとも素敵な佇まいのホテル、シュロッスレオンシュタインに滞在。せいぜい三泊までなんですが、ブラームスがクララに送った手紙やこの地で自然の美しさにその大自然を讃歌した交響曲第二番の直筆楽譜がさりげなく飾られたブラームスの部屋、No.6に泊まらせてもらいました。少しでもブラームスの音楽に近づきたい思いからだっのですが、アーノルドさんご夫妻やホブキンスご夫妻、メニューヒンのマネージャーでウィーンの音楽マネージメントの分野で素晴らしい仕事をされてきたエレナーホープさんなどともお付き合いが深くなる中で、昨年度のコンクールでのオブザーバーから今年はピアノ部門の五人の審査員の一人に選ばれました。
そのコンクールが8月31日から始まり今日はファイナルラウンド。
審査の内容はコンクールが終るまでブログに書くことはできないのですが、優勝がきまるのが7日午後10時頃、最新速報をお知らせしますね。


2013年9月6日金曜日

ルッツエルン音楽祭から つづき


こんにちは!
前半はシューベルトの未完成。普通はこの交響曲を演奏するオーケストラの規模、編成はせいぜい14型位まで。これは第一バイオリンのメンバーの数をいいます。14人の第一バイオリン、12人の第二バイオリン、10人のビオラ、8人から10人のチェロ、6人位のコントラバス。これに、楽譜に指定された管楽器と打楽器が入り大体65人から70人位のオーケストラの編成でやるのですがこの祝祭管弦楽団は18型で大編成!奏者はみんなソリストみたいなトップアーティスト達、未完成交響曲は出だしからピアニッシモ、マーラーやブルックナーなら大編成もありだけど未完成交響曲ではどんなことになるのか?
いよいよアバードの登場。
ステージの左手奥からアバードが現れました!想像以上にほっそりとなり指揮台に向う歩き方もどこか辛そうなのです。元気ないな!どうしたのかな?多分同じ印象を超満員のアバードファンの中にはたくさんいたのではないでしょうか。
アバードは割れんばかりの拍手に迎えら指揮台にすっくと立ちました。
コントラバスのピアニッシモで始まる未完成交響曲は固唾をのむ2000名近い満席の静寂の中で八人のコントラバス奏者達のこれ以上無理と思えるほどのピアニッシモで静かに始まりました。
未完成交響曲は二楽章で終わったため当時の交響曲が四楽章まである型式から外れていたため未完成と見なされていたからと言われています?何故シューベルトが三楽章と四楽章を書かなかったかは未だ確かなことは分かっていないのですが、あまりにも美しくあまりにも切なく、地獄から天国への階段を様々な情景を回想しながらゆっくりと歩んで行く物語の様に私には想えるのです。
アバードの演奏は私の描くそれより遥かに静かに優しく淡々と進んで行った様に私には想いました。
オーケストラは、アバードの想いを極限までの優しさ、これだけの大編成のオーケストラとは考えられない位のピアニッシモを随所に散りばめながら囁くような演奏。
後半はなんと22型、チェロだって16人もいるのです。弦楽器だけで約90名、ホルンが八名、総数約120名の大編成!ステージは満杯!客席も満杯、熱気がホールを包みます!
アバード大丈夫かな?10年前のようなエネルギッシュな棒さばきはなくほぼ直立不動で指揮棒を細かく動かしオーケストラに委ねるそのうしろ姿はただそこに立っているだけでオーラがホールを包み、120人の奏者がひたむきに全身でアバードの音楽を奏でる歓びが静寂のピアニッシモから炸裂すりフオルデッシモまでを最後のホルンのロングトーンが消えるまで長大なブルックナーの第九番が終わったのです。アバードの描く大宇宙が壮大で大聖堂で聴くような神々しい響きに包まれたのです。
演奏がおわってもアバード、120人のオーケストラ、満席の聴衆は無の空間に身を委ねその余韻を呼吸すらすることをわすれるほどの心地よい緊張感の中でアバードが解放される一瞬を待ったのです。
やがてアバードは渾身で振り終えたブルックナーの世界から身を解きオーケストラに一礼、その瞬間に聴衆は一斉に大歓声ブラボーと割れんばかりの惜しみない拍手が会場を包みました!
アバードがステージ左手奥にとぼとぼと帰るうしろ姿に改めてありがとう!来年も!
ルッツエルン湖畔でコンサートの余韻に浸りながらのワインはこの上ない至福!素晴らしい音楽との出会いは生きる歓びと感謝の気持ちを改めて感じる一日でした。

2013年9月3日火曜日

ルッツエルン音楽祭から つづき

こんにちは!
カラヤン、ベルリンフィルの長い黄金期を経てカラヤンの後を引き受けたのがイタリアの指揮者クラウデォアッバード、其の選考過程はともかく新しい開かれた民主的な新しいベルリンフィルが今から約20年前にスタート。確かな年数は分からないがアバードはガンとの闘いもあって.、ベルリンフィルのシェフを辞任したのです。
しかし神様はアッバードにきっと神の力を与え見事に復活を果たしたのです!
アッバードを慕い敬愛する世界中のトップアーティストが集まりここルッツエルン音楽祭の主役として再びベルリンフィルを凌ぐ壮大なスケールのオーケストラが誕生、ルッツエルン祝祭管弦楽団と言う名前で僅かな期間しかこの夢のコラボレーションが聴けないのです!日本の松本に小澤征爾を慕い敬愛する世界中のアーティストが集まるサイトウキネンオーケストラにとてもよく似てるかもしれませんね。
湖の畔にあるコンサート会場にはコンサートを待ち切れないファンで開演1時間前から続々と素敵な振る舞いのお客様が集まってきました。開演は午後七時半、夏のヨーロッパの日暮れは大体8時前、ユックリと静かに日は沈んでいきます。夏の音楽祭はオープニングのガラコンサートを除いてはイブニングといえども正装ではないのですね。オーケストラのメンバーも燕尾服ではなくダークスーツにネクタイ。熟年の素敵なカップルが圧倒的に多いですね。
着物を着た日本人もチラホラ。
いよいよコンサート会場に入りました!
二階席から観る会場は全く一席の空席もない完全満席なんです。
日本のコンサート会場ではチケットが売切れの場合でもまず五パーセント位は空席ですね。招待席がガラッと空いていたり、病気や事情あって来れない人もあるのが普通ですよね。
開演前に完全満席!
ステージには100席以上の椅子、きっとオーケストラの総数はステージ一杯に大編成の祝祭管弦楽団のそうそうたるメンバーが登場してくるのですね。
ドキドキ、ワクワクしながらの開演です。
続きは次回のブログで。

九月1日に私のオフシャルウェブサイトを開設しました。yukimiyagi.com
これまでの指揮活動などをまとめましたので見てくださいね。


2013年9月2日月曜日

ルッツエルン音楽祭から つづき

こんにちは!
スイスの夏は終わり初秋の気配!八月最終の平日にも拘らずルッツエルン夏の音楽祭は九月中旬まで一カ月以上続き連日大ホールと街中の教会でリサイタルが開かれています。中でもダントツ熱い期待が注がれ早くからチケットが完売になるのがアバード指揮、ルッツエルン祝祭管弦楽団のコンサートなんです。音楽祭のプログラムをみるとこのあと、ウイーンフィル、アムステルダムコンセルトヘボウ、ベルリンフィル、ドレスデンシュターツカペレ、バンベルグ交響楽団、サンクトペテルブルクフィルなど世界のトップクラスのオーケストラが次々と音楽祭を盛り上げていきます。七月から九月はヨーロッパのたくさんの保養地や歴史的な街で夏の音楽祭が何十年前から、いや百年以上前から続いているのですね。九月の終わりから始まる一年の定期公演は翌年六月に終わりそれをこちらヨーロッパではアブヌマと読んでいます。ウイーンフィルなんかの定期会員はもう百年も同じファミリーが持っていて代々定期会員がそのオーケストラの活動を支えてきているのです。もちろん定期演奏会のチケットを手にいれることは可能なのですが、簡単ではないのですね。
今でこそインターネットでの購入も可能になってきましたが、毎年それを楽しみにしている人達は来年度のチケットを一年まえから予約していてなかなかいい席が取れないのです。逆にウイーンなどでは、歴史あるホテルに滞在し、そのホテルのオーナーに頼んでおくととんでもないいい席が回ってきたりします!
さて前置きが長くなりましたが、いよいよアバード指揮ルッツエルン祝祭管弦楽団ののコンサートの日がやってきました!
今日のプログラムはシューベルトの未完成、ブルックナーの交響曲第九番の二曲、このプログラムは確かもう十年位前、ドイツのマエストロ、ギュンターバントが八十代半ばでハンブルグにある北ドイツ響と長年の日本側梶本音楽事務所の熱い招聘に応えて来日し、東京オペラシティで二回だけの公演を行った時と同じプログラムだったような記憶が残っています。ギュンターバントはこの歴史的な日本公演のあと少しして惜しまれつつ世を去りました。
アバードも何故この二曲をえらんだのか?音楽はそれぞれの曲に人それぞれに感じるメッセージがあるのではないでしょうか。
アバードがどんな想いで今晩指揮台に立つかその瞬間まで湧き上がる興奮を抑えながら美しいルッツエルンの湖やアルプスの山々を眺ながら静かに時の来るのを待ったのです。


2013年9月1日日曜日

ルッツエルン音楽祭から

こんにちは!
暑い東京を脱出スイス航空でチューリッヒにむかいました。チューリッヒ空港は気温19℃で東京とは10℃以上の気温差、おまけに湿度が低くカラッとしていてなんとも快適いつもヨーロッパのairportに着くと一番最初に感動することがあるんです。それは空が広い!地平線の彼方まで雲が何層にも見えその遠近というか空の広さと雲がなんとも自然で雄大なんです。空気がきっと澄んで綺麗んでしょうね!チューリッヒ空港からスイス鉄道で一時間チューリッヒ湖を左手にみると湖畔に可愛いお家が並んでいます。遠くにスイスアルプスを仰ぎこんな自然でゆったりとした所で生活したらさぞかし人間も健康で人に優しく穏やかに過ごせるのだなと車窓から眺めていると夕方6時にルッツェンに到着しました!8月の最終月、まだまだ日がながく観光客の往来も夏のバケーョンを満喫しているようで活気に溢れています。宿は駅前1分のホテルに。このルッツェンは昨年夏に来て以来一年ぶり!

ルッツェンに初めて訪れたのは大学四年生の夏に船で横浜からナホトカにわたりシベリア鉄道を乗り継いでヨーロッパユースホステルの旅をしたとき。いまから実に46年がたっていました。ルッツェンはルッツェン湖に面し周囲はアルプスに囲まれた都市、ルッツェン湖畔は素敵な別荘がありきっと世界のあこがれの保養地なんでしょうか。湖畔を散歩する老夫婦もみんな素敵に見えてきます。一年に二泊の贅沢です。今回のお目当ては元ベルリンフィルのシェフクラウデオアバード。彼はガンとの闘いを克服して復活し一年に一度夏にルッツェン音楽祭の中で世界中のクラウデオアバードを慕う演奏家が集まりアバードとのコラボを世界中のアバードファンに提供するコンサートが行われています。。世界中のアバードファンになら一度は聴いてみたい世界最高のオーケストラとの共演。そのコンサートのチケットが幸運にも今回とれたのです!明日26日がそのコンサート。これから綴っていく音楽紀行は様々な音楽との出逢いや感動、エピソードを「Yuki Miyagiの音楽紀行」というタイトルのブログをGoogleの中で綴っていきたいと思います。次回はアバードのコンサートのお話です!